東京の目黒に寄生虫博物館という人気スポットがあり、体内にいた5mのサナダ虫のはく製にワクワクしちゃうキャサリンです。今日ご紹介する「アニサキス」も寄生虫の一種です。
その幼虫は、長さが2~3cmくらいで、白色の少し太い糸のように見えます。
アニサキス幼虫は、寄生している魚介類が死んで時間が経過すると、内臓から筋肉に移動をするのです。
このアニサキス幼虫が寄生している生鮮魚介類を生で食べると、アニサキス幼虫が胃壁や腸壁に刺入してアニサキス症を引き起こしてしまいます。
アニサキスはどうやって魚に寄生するのか
アニサキス類の成虫は、クジラやイルカなど海の哺乳類の胃に寄生しています。
卵が糞便とともに海中へと放出され、オキアミなどの甲殻類に取り込まれ幼虫へと成長します。
このオキアミなどを餌としている魚やイカの体内で幼虫のまま留まり寄生を続けるのです。
アニサキス症の症状は?
胃アニサキス症
胃アニサキス症は、アニサキスが口から体内へと入り、胃壁に突き刺さることで発症します。
感染後、3~4時間後には上腹部痛や吐き気、嘔吐などの症状が現れます。
一定間隔で腹痛を繰り返すのがアニサキス症の特徴です。
これは、胃壁にアニサキスが突き刺さったことによる直接の痛みではなく、アニサキスに対するアレルギー反応といわれています。
このため、治療はアニサキスの除去が有効です。
腸アニサキス症
腸アニサキス症は、アニサキスが口から体内へと入り、腸に食いつくことで発症します。
感染後、十数時間~数日後に、強い下腹部痛や吐き気、嘔吐などの症状が現れます。
腸閉塞や腸穿孔に至るケースもあり、その場合は入院加療が必要となります。
消化器外アニサキス症
消化器外アニサキスは、症例の少ないタイプです。
アニサキスが消化管を突き破り、腹腔へと飛び出し寄生します。
その寄生した部位に応じた症状が現れます。
アニサキスアレルギー
魚介類などを食べた後に蕁麻疹などのアレルギー症状が現れます。
アナフィラキシーショックを起こして、血圧の低下や呼吸困難に陥る場合もあります。
この場合は、アニサキス自体が抗原となるので、加熱処理をしていても発症してしまうと考えられます。
アニサキス症の予防方法は?
アニサキス症のいちばんの予防法は、アニサキスの宿主となる魚介類を食べないこと。
でもこれは生魚好きな日本人には難しいですよね。
生魚を購入したときは、速やかに内臓を取り除くようにしましょう。
魚の内臓に寄生していたアニサキスは、その魚が捕獲された直後から、筋肉へと移動する習性があります。
魚が新鮮なうちに内臓を取り出しておくことで、アニサキスを一緒に排除できる可能性が高まるのです。
また、アニサキスは目に見える大きさなので、調理するときや食べるときに確認するといいでしょう。
生魚の内臓を食べることは、とても危険なのでやめましょう。
アニサキスは、60度以上での1分以上の加熱、マイナス20度以下での24時間以上の冷凍によって死滅します。
アニサキス症の治療法は?
残念ながら、いまのところアニサキス症に対しての効果的な治療薬はありません。
したがって、アニサキス症の治療は、胃アニサキス症の場合は内視鏡検査の際にアニサキスを鉗子と呼ばれるピンセットのようなもので除去します。
腸アニサキス症の場合は、アニサキスが死滅し症状の緩和を待つ対症療法を行います。
腸閉塞などを起こしたときは、外科的処置になります。
アニサキス症を引き起こしやすい魚は?
アニサキス症を引き起こしやすいと言われている魚をご紹介しましょう。
あくまで「引き起こしやすい魚」で、すべての魚にはアニサキスが寄生している可能性があるということは忘れないでくださいね。
サバ
アニサキス症の報告例が多いのがサバです。
刺身で食べる機会はあまり多くはありませんが、アニサキスが寄生している可能性は非常に高い魚です。
注意するのはシメサバ。
アニサキスは酢でしめても死滅しません。
目視を忘れないようにしましょう。
イカ
イカの中でも、スルメイカのアニサキス症報告例が多いと言われています。
イカはクジラやイルカの餌になる場合も多く、アニサキスの絶好の寄生元です。
スルメイカは塩辛の原料になる事も多いので、自家製塩辛には注意しましょう。
スーパーなどで販売されている塩辛は、冷凍原料の場合が多いのであまり気にする必要はありません。
サンマ
近年報告例が増えてきているのがサンマです。
流通の進化でサンマを刺身で食べる機会が増えてきたためと考えられます。
養殖ならアニサキスは寄生しない?
過去には養殖した魚にアニサキスが寄生していた報告例があります。
これは、養殖の際に生餌を使用したために、餌にアニサキスが混入したと考えられます。
養殖だからといって必ず安心だということではないので注意しましょう。
時事メディカル連載
— 外科医けいゆう/山本健人(Takehito Yamamoto) (@keiyou30) September 23, 2020
今回はアニサキスについて簡単にまとめました。
寄生虫であるアニサキスが起こす「アニサキス症」は、わが国で年間7000件以上起こっているとされ、突然の腹痛で救急搬送される人は多くいます。
内視鏡(胃カメラ)で虫体を除去するのが治療の一つです。https://t.co/Kkik95kp54
アニサキス症についてまとめてみました。
かかってしまうと恐ろしいアニサキス症ですが、しっかりと予防をすれば防ぐことができます。
正しい知識を持って、おいしい魚を楽しんでくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。